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2019/01/17

活動報告

第3回「これからの生き方を考える会」開催レポート

株式会社スタッフロールは2018年4月より「これからの生き方を考える会」をスタートさせました。多様なバックグラウンドを持つ方々とのつながりの中から、これからの時代を生きるひとりひとりの新しい在り方を模索していきます。
今回は2018年7月に行われた第3回のレポートをお届けします。
第2回のレポートはこちら

第3回テーマ「コミュニティとお金の関係」

第3回の話題提供者は、岐阜県各務原市にあるホワイトニングサロンBlliriantの共同経営者・ジェイさん(鈴木淳司さん)です。ジェイさんは第1回からの参加者。岐阜県各務原市の市民活動にも関わっていて、軽やかなフットワークで活動されています。
参加者はスタッフロールのスタッフに加えて、クリエイター、ITエンジニア、社会保険労務士、臨床心理士、障害のある当事者などバラエティに富んだ10名が集まりました。

コミュニティとお金を切り離して語ることは難しい

はじめに、経営者でもあるジェイさんからコミュニティとお金の関係についての考えを聞きました。

「街づくりがうまくいっているところとそうでないところの違いは何だろう?と考えてみます。すると、うまくいっているところは何かしら活動を回す安定したキャッシュが存在していると思ったのです。行政から出ていないキャッシュがあるからこそ、思い切ったコトが出来て、それがコンテンツとして多くの人に支持されて、さらに人を呼ぶというサイクルがうまく回っている。そう思うとやはりコミュニティとお金は切り離せない話題だと考えています。」

ジェイさんが暮らす岐阜県各務原市は、県内有数の産業の街として知られています。人口約15万人。航空自衛隊 岐阜基地や大企業の製造拠点が集中し、河川環境楽園や航空宇宙博物館など人が集う観光資源も豊かです。この、人の流れが活発な地域で市民活動の中心となっているのが「一般社団法人かかみがはら暮らし委員会」です。ジェイさんは、かかみがはら暮らし委員会主催の「寄り合い」に参加しています。市民活動のリアルな温度感や手応えについて、これまでの回でも様々なコメントを投げかけてくださっていました。
「各務原は行政と民間の距離感が比較的バランス良く回っていると思っています。その例の1つとして『KAKAMIGAHARA STAND』というカフェがあります。これは元々市の持ち物だった建物を民間に貸し出して運営しています。オシャレなカフェということで、県内外から沢山のお客様が足を運ぶ人気スポットなのですが、実は市民と行政の距離を縮めるベースキャンプのような役割としても機能しているんです。

コミュニティって、“自分たちがこうしたい・やりたいと思うこと"が先にある。そこに国や行政からのお金が入ってくると、だんだん責任や義務が発生してきて、最初の想いとは少しずつズレてきます。その意味で自分が関わっているコミュニティは、カフェサービスを通してお金を調達しているので丁度いいバランスを取れている。ただ、発展させようとするとお金稼ぎに偏り過ぎてうまくいかない。自分たちの理念だけでやっていても、資金が無ければ出来るコトが限られる。NPOが資金集めに悩む感じに近いかも。」

コミュニティを維持していくことによる新たな悩み。
ジェイさんの話題提供を聞いて、参加者はそれぞれどのように感じたのでしょうか?

コミュニティを維持するために、誰がお金を出すのか?

障害者支援に携わる参加者さんによると、福祉の視点から見ても、各務原市は他地域と比べてうまくいっている印象とのこと。その秘訣は何でしょうか?
「先日、岐阜県内の支援者が集まるフォーラムに参加した時、各地域の支援者さんとグループワークをしました。多くの地域がコミュニティづくりに苦戦している中で、各務原市の支援者さんのお話は、うまくいっている感じがしました。ポイントは《小学校区サイズのコミュニティ》。徒歩30分圏内をいかに充実させるかに注力していたんです。大規模な事業は行政任せになるけれど、そこに暮らす人が手の届く範囲の話になるから、“自分たちもできることをやってみたい"となるそうです。」

参加者さんから次々と意見や問いが出てきました。
「何をもって地域活性といえるのか?最近は“コミュニティビジネス"=コミュニティづくりがビジネスにもなる。意図的であまり自然発生的ではない感じ。」
「それでもやっぱりベースとして、お金の入る仕組みは持ってないといけないよね。」
「お金が関わると責任や管理が発生して、コミュニティが組織的になっていくのは仕方がないかも。」
「そのコミュニティに価値があるとして、誰がお金を出すのかな?」

こんな意見も出てきました。
「行政が資金分配の役割に徹してくれたらいい。実際のコミュニティ運営は市民に任せてくれたらいいけれど、行政は運営部分にまで介入しようとする側面がある。」
「コミュニティをきちんと維持しようとしたら“自治"になる。自治はコミュニティよりも組織に近い感じ。だけどやっぱり、組織よりコミュニティの方が楽しそうだよね。」

結局、「楽しいこと」にお金が集まりやすい

組合員のようにお金が発生しつつも、自分の意思と主体性によって参加しているコミュニティに「ファンクラブ」が挙がりました。ただし、ファンクラブも規則や役割がガチガチに固められていくと、参加する楽しさがだんだん失われていきます。
そこで「参加していて楽しいコミュニティはある?」という話題に移っていきました。
士業に携わる参加者さんは、モチベーションの上がるコミュニティとそうではないコミュニティがあるといいます。「職場の女子会飲み会は楽しい。お酒が飲める楽しさがモチベーションになっているかな。士業ネットワークも、分からないことを聞き合える仲間ができます。ただ、同じようなネットワークでも、役職が決められていると、しがらみがあって大変です。異業種交流会のような集まりも、楽しさとは違う。実際の仕事には案外繋がらなくて、交流が目的のように見えて、そうではないところに目的があるかもしれないですね。」

初参加のITエンジニアさんは多趣味で、誘われてテニスサークルに行ったり、野球が大好きで、野球好きが集まりゆるやかにつながっているとのこと。
「定期的に球場観戦をしていて、試合後に顔を合わせて飲みにいく仲間が10人ぐらいいます。たまたま球場で隣になった人ともその場で仲良くなって、そのまま飲みに行ったりして。」ITエンジニアさんの柔軟なつながりスタイルは、他の参加者さんからも深い共感と支持を得ていました。

楽しいコミュニティには自然と足が向き、その楽しいつながりを維持しようとすると、自然とお金が発生する仕組みがあるのではないか?先にお金ありきではなく、「楽しいこと」にお金がついてくる、かもしれない。今回はそんな着地点に至りました。

テーマ「コミュニティとお金の関係」について 参加者のメモ

最後に、進行役のWEBLIC代表・坂本さんが、アメリカのテレビシリーズ「ウォーキングデッド(原題:The Walking Dead)」を例に挙げてコミュニティの性質を指摘しました。

「例えていうなら、まだゾンビに攻められていない安全な街。平和だから住み続けられるけれど、今度は幸せ過ぎてもかえって不安になってくる。そして人は、また外の世界へ出ようとする。だからこそコミュニティには《流動性》が必要なんだよね。
これまでの回でも出てきたように、コミュニティは《規模感》も大切。続けることと同時に、どこまでの範囲でやめるのか。自然発生的でゆるい感じのコミュニティはどうやったら作れるのか?別のテーマからも、引き続き考えていきましょう。」

第4回のテーマは「コミュニティを評価する“ものさし"」です。
次回のレポートもどうぞお楽しみに!
(text:エスラウンジ 松永結実)

今回の対話から生まれた疑問

  • うまくいっている団体や地域と、うまくいってない団体や地域の違いはなんだろう?
  • コミュニティを維持するために:お金稼ぎだけでもうまくいかない、自分たちの理念だけでやってもうまくいかない。両方のバランスはどうしたらいい?
  • コミュニティは、誰に何を提供しているのだろうか?
  • 何をモチベーションにして、コミュニティに関わっている?

テーマを読み解くキーワード

まちづくり,岐阜県各務原市,理念と経営,やりたいことが先,行政と民間,財源,資金分配,コミュニティと組織の違い,ファンクラブ,自治会,異業種交流会,つながりの目的とモチベーション,好きなことでつながる,ゆるいコミュニティ,流動性,規模感,ウォーキングデッド

これからの生き方について共に考えてくれる方、募集中!
「最近の悩みを話したい!」
「こんな地域になったらいいな!」
「この社会課題をなんとかしたい!」
様々な想いを持った方のご連絡をお待ちしています。

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主催:株式会社スタッフロール
会場:ビューズ@名駅 https://view-s.jp/
愛知県名古屋市西区名駅二丁目25番21号ベルウッド名駅1F
問い合わせ先:052-462-1608
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