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2019/03/18

活動報告

第4回「これからの生き方を考える会」開催レポート 後編

株式会社スタッフロールでは、2018年の新たな取り組みとして「これからの生き方を考える会」を開催しました。多様なバックグラウンドを持つ方々とのつながりから、これからの時代を生きるひとりひとりの新しい在り方を模索していく試みです。 今回は2018年8月に開かれた第4回のレポート【後編】をお届けします。

第4回テーマ「コミュニティを評価する“ものさし”」

話題提供者は、第1回後半よりレポートを担当しているエスラウンジ松永結実です。第4回は「コミュニティを評価する“ものさし”」をテーマとして、①コミュニティを再整理する②コミュニティを「評価する」とは?③その評価を行うための“ものさし”、3つの小テーマに分けて、それぞれを関連付けながらフリーディスカッションを行いました。

前編のレポートはこちら

“評価”って、本来は何のためのもの?

松永:評価研究の世界では、《 評価=事実特定+価値判断 》という定義がなされています。
本来の評価研究は、過去どのようなプロセスを経てその結果がもたらされたのか、エビデンスに基づく「過去評価」と言われています。社会的インパクト評価と休眠預金の活用については、今後期待される未来の成果に対する「未来評価」への投資なんですよね。懸念の声が上がっているのは、そういった背景があります。

Sさん:社会的インパクト評価は、新ビジネスを作りたいマーケット派の思考だよね。だから「Fさんが経営者として頑張っているから予算を出そう」みたいな話にはなりにくいでしょう。客観的評価を行った上での、公益性と公共性のバランスが必要になる。でも、エビデンス重視をしているところは一層公益性が高まって、その結果また偏りが生まれる。

松永:評価の手法としては大きく3つと言われています。1つは自己評価、2つめに企業や団体単位での内部評価、3つめに協働型評価といって、その事業に関わるさまざまな立場の人間が参加する評価の方法です。
最近では「発展型評価」といって、進行中の事業に対して、定期的に細かく評価を入れ続けて、そのプロセスごと変化をもたらしていく評価手法も研究されています。
そして、対人支援職は評価の定義《事実特定+価値判断》、さらに「評価を細かく入れ続けてプロセスを変化させていく」ということを、日々やっていると思うんです。

Sさん:支援の対象は「人」だから、アウトカム(成果)の評価が難しいよね。就労支援なら「就職した、何年仕事が続いた」などで評価されてしまう。でも実情は、その人がものすごい我慢して仕事を続けていとしたら?それって「事実」とは違うかもしれないよね。

Nさん:数字にならないところの、目に見えない評価って何でしょうね?

Tさん:数値化できるものとご本人の変化を両軸で追っていく心理領域は、評価に関するノウハウが多いです。「表情がよくなった」というのも大切な判断基準になります。

Fさん:他所から借りてきた成果指標をつかうのではなく、自分たちで評価の軸を創り出す。つまり「地産地消」を目指せばいいということかな?「共通言語」を探すためには、ステークホルダーとの協働型で評価に取り組んで、より良い部分を見つけて、異なる立場の相手でも共通項が見つかって、次のステージへと発展する。そんなイメージがあります。

分断を生む在り方ではなく、関係性を豊かにする在り方を探して

Sさん:評価されすぎないことは大切だけど、評価されない=無視されることも悲しい。 誰かに評価されそうなところにお金が投じられる。全く評価されなくても、発展性がないと思うんです。恋愛対象や人間関係においても。評価されないよう生きるための枠組みとして「コモンズ」が成り立つのであればいいんだけど、それってどう折り合いをつけていくのかな。

Nさん:その話題に関連して、コストベネフィットアナリシス(費用便益分析)ってご存知ですか?シカゴ大学のジェームズ・J・ヘックマン教授 による「ペリー・プレスクール・プロジェクト」は、就学前の幼児に一定の教育を受けた子どもたちが40歳になるまで追跡した調査研究です。教育の対象はアフリカ系低所得層の子どもたちで、「最低限必要な幼児教育を施すことで、結果的に社会が負担する経済コストを削減できる」という研究発表なんです。

Sさん:僕もNさんに教えてもらって読みました。結果として、幼児教育を受けなかった子どもたちよりも豊かな暮らしを手に入れていて、生活保護受給者や逮捕者率が低かったそうです。この研究、アウトカム(成果)は誰もが納得できる「経済的コスト削減」に置いたけれど、一連のプロセスは「コモンズ」に置いている好例だと思います。

Oさん:今の話題で関連して、TEDで観た「幸せ」の研究を思い出しました。50歳までに良好な人間関係を形成できている人たちを研究して分かったのが「いちばんの資本は人間関係」。人数ではなく人間関係の質だそうです。著名な投資家のウォーレン・バフェットも「成功者とは、自分が愛する人に愛されていること」と言っていたほど。これがコミュニティにおける本質のテーマなのかな。

Fさん:コミュニティに属することで育まれる自己肯定感、つまり「成長」と言えるんじゃないかな。さらに異なるコミュニティどうしが成長し合うとすれば、評価し合うというよりは「互いに成長する」景色を描ければいいのでは?

松永:評価を「お互いに成長を共有する手がかりとして、捉え直せばいいんじゃない?」と助言してくださった方がいたんです。その方は、自閉症のあるお子さんを育てています。人と自分の子どもを比べて悲観するのではなく、子どもの成長を喜び、柱に印をつけていくような「成長を共に実感するための評価」があってもいいとおっしゃっていました。

Sさん:実は、評価ってじっと見られている方も辛くなるもの。個別の評価が強すぎると、かえって差別にもつながるよね。だからコモンズをがっちり定義するとみんなが辛くならないかな。もう少しふわっとした、ゆるい評価も必要じゃない?

Tさん:目的によって成果指標そのものが変わっていきますよね。今後、コミュニティの在り方は、臨機応変になっていかざるを得ないかもしれないですね。

松永:ここでまた「いいコミュニティ」の条件に戻りました。《柔軟に形を変えられる・自由な出入りができる・参加している手応えがある》こと。
役割や視点を固定化し過ぎないこと、他者に評価を委ね過ぎないことが、いいコミュニティづくりや、ひいては自分自身の人生を豊かに耕すことへ繋がっている気がします。

今回のテーマは、2019年2月に行われた「全国若者・ひきこもり協同実践交流会inあいち」でも、関連した分科会「関係性を豊かにする評価とは? ~共に成長を実感するための共通言語づくり~」が行われました。2019年も引き続き注目のテーマとなりそうです。

第5回は「暗号通貨とコミュニティ」について。
第3回の「お金」そして今回の「コモンズ」双方をつなぐテーマになります!
次回のレポートもどうぞお楽しみに。
(text:エスラウンジ 松永結実)

今回の対話から生まれた疑問

  • 「いいコミュニティ」を語る時《 誰かの/ものさしによる/評価 》が働いているのでは?
  • 個人でも、市場でも、政府でもない第3の場「コモンズ」とは?
  • 目に見える評価、目に見えにくいものを価値づけられる評価とは?

テーマを読み解くキーワード

いいコミュニティ,誰かのものさし,評価,ペストフの三角形,コモンズ,共有財・共有知,会社や所属の肩書きを名乗ること,休眠預金等活用法,社会的インパクト評価(SIB),成果指標,過去評価と未来評価,自己評価,内部評価,協働型評価,発展型評価,コストベネフィットアナリシス,ペリー・プレスクール・プロジェクト,アウトカム,いちばんの資本は人間関係,人間関係の質,成長の共有,ゆるやかな評価

これからの生き方について共に考えてくれる方、募集中!
「最近の悩みを話したい!」
「こんな地域になったらいいな!」
「この社会課題をなんとかしたい!」
様々な想いを持った方のご連絡をお待ちしています。

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主催:株式会社スタッフロール
会場:ビューズ@名駅 http://view-s.jp/
愛知県名古屋市西区名駅二丁目25番21号ベルウッド名駅1F
問い合わせ先:052-462-1608

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